皆様こんにちは!事務局の金でございます。大変お待たせ致しました!
HEROismインタビュー第2弾をお送りしますので、どうぞお楽しみくださいませ♪

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ーこんにちは。最近は忙しいようですが。
(坂下)セカンドアルバムの準備とにっぽん丸クルーズの準備などで忙しく過ごしていました。クルーズでは、歌に加え、ピアノソローや弾き語りも披露する予定です!

―前回のインタビューは大好評でしたね。事務局にもたくさんのお褒めの言葉が届きました。
(坂下)本当そうでした。たくさんの方々からご好評頂いて、とても嬉しかったです。今回も宜しくお願い致します。

ー本日お伺いしたい曲は、前回ご紹介した「アルフォンシーナと海」同率5位にランクインしたピアソラ作「言葉のないミロンガ」です。まず、「ミロンガ」とは何ですか。
(坂下)ミロンガとは音楽のジャンルの一つで、アルゼンチンとウルグアイの伝統舞曲のことです。一時期廃れた時もありましたが、それをピアソラが再現したんです。ピアソラはタンゴで有名ですが、パリにも留学していて、クラシックの勉強もしっかりしていたんですよね。そしてアルゼンチンの伝統音楽であるミロンガをクラシックと融合して芸術に昇華させたんです。だからクラシック歌手が歌っても全然違和感がないんですよね。

ーインターネットで「言葉のないミロンガ」を検索してみたら坂下バージョンしか見つかりませんでした。
(坂下)多分、他に歌った人はいないと思いますよ。そもそも楽器の曲ですから。

ー楽器の曲?!どうしてこの曲を歌おうと思ったんですか。
(坂下)ピアソラの曲は昔から大好きで楽譜もいっぱい持っていたんです。ぺらっと楽譜を捲った時この曲が出てきて、どんな局か知らずに歌ってみたんです。楽器の曲は音域が広くて難しいんですが、なんだか歌えちゃって。メロディを歌っていたら何かこみ上げてくるものがあって心に響いちゃったんですよね。それで衝動的に選んでしまいました。この曲は絶対アルバムに入れると。

―いい出会いでしたね。
(坂下)本当いい出会いだったんです。

ーピアソラの曲に歌の曲はないんですか?
(坂下)ありますよ。ミルヴァというタンゴ歌手がよくピアソラの歌を歌っているので、タンゴそのものという感じでしょうか。クラシック歌手がタンゴを歌うということに違和感が強い人も多くて、ピアソラの曲から探そうとはしないんですよね。でも、本当に良いメロディが多くて。メロディの宝庫だと思うんです。

―この曲が上位にランクインすると予想していましたか?
(坂下)順位は予想していなかったのですが、これは良い曲だという自信はありました。ただ収録は色々大変で、声楽的に不安はあったりもしました。

―どういう不安がありましたか?
(坂下)実は、HEROismの収録は三日間で行いましたが、このミロンガは初日に歌ったんですよね。実はその日、喉に結節ができていて、また熱もあって。ものすごく体調が悪かったんですよね。5-6分歌って、2時間くらい倒れていて、また5-6分歌って。歌い手としては体力管理は最も基本ですから、収録後も不安はありました。

―どうして初日にこの曲を収録しようと決めたんですか?
(坂下)この曲はなかなか難しい曲なので、まだ体力があるうちに録音しようと思っったんですよね。もっと悪化してしまったらこれは歌えないと思って。結果、二日目からは回復したので一番体調が悪いときに歌ったことになりました(笑)。そういう情況で、収録後もこれはだめだと思っていたんですが、意外なことがあって。

―意外なこととは?
(坂下)音響のエンジニアさんとプロデューサーさんがなかなか良いと、これを収録しようと言ってくれたんですよね。その時一つ気付きがありました。自分が良いと思う声だけが良い声ではないのかも知れないと。それからまた聞き返してみると自分でもなかなか良い曲だなと思って。声が朗々と出るというよりも内面の辛さが出てくるという意味で、この曲と合っていて、良い味が出てきたと思いました。まああんな体調では二度と歌いたくないですけどね(笑)。

―そういう状況だったとは思えないほど非常に繊細に歌っている曲だと思っていました。何を表現しようとして歌ったんですか?
(坂下)歌詞がないということは、感情を動物のように表現することだと思うんです。言葉は人間だけのものですから。例えば動物のほえ声など。それが本能的なところなので、動物のような本能を表現することを心がけてみました。後、その都度、状況を考えながら、物語にして暗い曲調のまま静かに消えるようにおわることを表現するようにしました。ハッピーエンドではないと思うんですよね。この曲は。ムンクの「叫び」のようなイメージですかね。

―音も自然でとても綺麗で、すこし夢幻的な感じでした。
(坂下)このアルバムを収録した時にエンジニアさんは、越路吹雪さんや美空ひばりさんのアルバムを昔作っていた方なんですよね。今の技術でしたら機械で音程の上下さえすぐできてしまうけど、アナログな技術をお持ちで「プロ」の方なのです。ただ単に機械でいじるのではなく例えば、ティッシュを破いてマイクに乗せたり、マイクを背にして歌ったり、ベニヤ板の上に立ち、マイクより少し上のところで声を出したり。そういった微調整により、幻想的になったり、音楽に広がりが出てきたりしたんだと思います。この曲に関してはそんな工夫も施されています。

―テクニックの面についてもお聞きしたいのですが。
(坂下)まず、心がけたのはやっぱりクラシック歌手として歌うことでした。自分のアイデンティティですから。曲自体はバリバリのクラシックの曲ではないからどう歌うか色々と悩み、音源も沢山聴きました。そうして曲をアナリーゼ(分析)していく中で、クラシックに近い側面を少しずつ見つけ始めました。そして音一つ一つ取るのではなくて、つなげてレガートに歌うことを意識しました。誰かから聞いて未だに忘れられない言葉があります。「音はそこにあるのではなく、つむがなければいけないと。魚を食べるような感じで、背骨のようにつながっているもの。それがベルカント(美しい歌)である」と。そのベルカントを意識しながら歌いました。

―他にもありますか。
(坂下)はい。高いところの音はディミニュエンド(一つのフレーズで次第に遠くなり音が消えていくこと)を意識して、辛い曲とはいえ、美しさを第一に意識しました。また、癖をなくすために努力しました。

―癖をなくすとはどんなことでしょうか?
(坂下)感情の癖の話です。誰もが感情の癖をもっていて、感情が赴くまんま野生的に歌ってもいいけど、それを全部抜いて、楽譜のまま歌うことを意識したんですよね。クラシックは楽譜が最も至上です。楽譜に作曲者の意図も含め全てが書いてあります。ピアソラはクラシックもしっかり勉強していたので、楽譜もしっかりしていて、さすが天才、と思います。なので、楽譜通り歌うのが一番美しく、一番クラシック的だと考えました。

―面白いですね。ミロンガとかタンゴとかというジャンルだけど楽譜はクラシック並みにしっかり書いてあるんですね。
(坂下)そこがピアソラのすごいところですね。あともう一つ。ブレス(息)を最後の最後まで研究しました。これはもともと楽器の曲で、ブレスがない曲ですから、曲の邪魔になってはいけないと思って。ここで息吸ったら興ざめだな。など考えながら気をつけました。そしてブレスの仕方。つまり、自分の感情を張って吸うのか、ふぁーっとやんわり深呼吸するのか、そういうテクニックもストーリーと絡ませながら歌いました。

―色々と工夫された結果こんなに美しい曲が生まれたんですね。まとめますと次聞くときには、坂下さんの息の音に耳を傾けながら、高音でそのまま消えていく感じを楽しみながら聞いてみたいと思います。
(坂下)ははは。ファンの皆様もそうしてみてください。

―最後にテレビ番組のような質問を一つしたいと思います。「言葉のないミロンガ」に歌詞を付けるとしたらどんな歌詞になるのでしょうか?
(坂下)え、歌詞?考えたことない。

―今考えてみてください。
(坂下)えーと。あのひ、うむ、心は死ぬ、あのひ…(5分経過)「わたしのこころが死ぬとき/
ふたりが奏でた愛の歌は/あーあーあー(ため息パート)」。はあ、僕詩人じゃないんで。

―ファンの皆様にも歌詞を募集してみましょうかね。
(坂下)あ、いいー、それすごくいい!皆さん!何かいいアイディアありましたら事務局に連絡してくださーい♪

―近々のコンサートで「言葉のあるミロンガ」が聞けるかもしれないですね。どうもありがとうございました。

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